技能実習生の失踪理由と当組合の対策
外国人技能実習生の失踪に関する話題は、技能実習の関係者ならよく耳にするかと思います。
失踪と聞いてしまうと、技能実習制度についてマイナスな印象を覚えてしまいますが、彼らは失踪をしたくてしているわけではありません。
失踪という行為は、実習実施者様だけでなく実習生本人にも多大なリスクを伴うものであり、それでも失踪してしまう理由がそこにはあるのです。
21世紀マンパワー事業協同組合では、理由を正確に把握し、失踪に繋がる問題点を認識することが、失踪対策の第一歩だと考えます。
失踪理由から考えられる問題に応じてそれぞれ対策を講じ、未然に防ぐ取り組みをしております。
技能実習生失踪の主な理由と当組合の対策
失踪理由①低賃金
法務省の調査によると、失踪した外国人技能実習生の約7割が理由に「低賃金」を挙げています。
実態としては、最低賃金を下回っている法令違反によるものを除くと、自分が当初思っていた所得への不満が根底にあるようです。
当組合の対策
- ①企業様に適した給与制度の提案
- 給料の支払い方法には時給制、日給制、月給制など企業様によって様々です。
当組合では、技能実習生が安定的に給料を得られるよう、受け入れ企業様の雇用契約の内容を確認し、職種に応じた給与制度のご提案をさせていただいております。特に、天候などにより労働日数が左右される職種は、時給制を採用していると給与が不安定かつ低賃金になってしまう可能性があるため、月給制への変更をご提案させていただくことで、失踪を未然に防ぐことに繋げております。 - ②技能実習生への処遇内容説明サポート
- 現地で採用面接を行う際に、受け入れ企業様より事前に雇用条件書の項目一つ一つについて詳しくご説明していただいております。疑問や不安を払拭し、処遇内容を正しく理解してもらうことで、処遇内容に関する認識の不一致を防ぐ目的があります。
当組合では、技能実習生が理解しやすい説明方法のアドバイスを行い、採用面接時の技能実習生と企業様のコミュニケーションをサポートしております。 - ③内定後にSkype面談を実施
- 内定後、配属に向けて現地で日本語等を学ぶ期間があります。
その期間中に、当組合では、受け入れ企業様と内定した技能実習生がSkype面談を実施できる環境を整えております。面談では、面接当初の処遇内容について問題がないか再度ヒアリングを実施し、処遇内容についての理解を深めております。
また、配属前から企業様と技能実習生がコミュニケーションをとることで信頼関係の構築にも繋げております。 - ④日本語能力試験の受験支援
- 技能実習において日本語での会話が堪能になることで、コミュニケーションが円滑になり仕事が飛躍的に上達したとの企業様からの報告もあります。
当組合では技能実習生が受験する日本語能力試験の申請手続き等を代行することで、技能実習生が勉強に集中できる環境を整えております。また、受験レベルに応じた過去問題の提供や、通訳による質疑応答などを実施することで、技能実習生の日本語能力向上のサポートをしております。
特に、配属後の技能実習生は自習で日本語を勉強しているケースが多いため、日本語独特の言葉の言い回しなど理解できない部分を通訳に聞くことができる環境は、正しい日本語の習得を可能としております。 - ⑤技能に見合った処遇改善指導
- 技能実習生は技能実習を通して、日本語能力や仕事における技能について日々スキルアップしています。日本人労働者同様に、技能実習生も自分の技能に処遇が見合っていないと、不満を抱えるものです。
当組合では、企業様に実習生の技能に見合った処遇改善を適時実施していただく指導を行い、失踪対策に繋げております。
失踪理由②実習期間終了後も働きたい
技能実習期間が終了すると技能実習生は母国に帰国しなければなりません。
日本語も技術も習得し、日本での生活に慣れた技能実習生は、技能実習終了後も日本でもっと働きたい・帰国したくないという思いから失踪してしまうケースがあるようです。
当組合の対策
- ①面接時に人生プランの確認
- 現地で面接を行う際、3年後・5年後の人生プランについて確認しています。人生プランが明確に定まっている人材を迎え入れることで、リスクを軽減することができます。
当組合では、現地面接へ同行し受け入れ企業様に合った人材採用のサポートをしております。 - ②進路確認の面談実施
- 技能実習1号(技能実習1年目)に実習期間終了後の進路確認の面談を実施しています。
面談は技能実習生・組合スタッフ・受け入れ企業様の三者面談形式で、技能実習2号が終了したら技能実習3号または特定技能として従事するのか、また現在の企業様のところで働くのか別の企業様の所で働くのか等、改めて人生プランの確認を行っています。 - ③3号移行および特定技能での在留支援
- 面談において長く日本で働きたいと希望した技能実習生に対して、当組合では3号移行の試験対策や特定技能での在留が可能となるよう支援しております。
試験対策においては、過去問題の提供や通訳による質疑応答を行うことで、確実にレベルアップできるようサポートしております。
日本で長く働きたい技能実習生に対して、正しい方法で出来る限り長く日本にいられるよう支援することを心掛けております。
失踪理由③指導が厳しい
厳しすぎる指導を受けるということは、技能実習生に限った話ではなく、ほとんどの人が苦痛を感じるはずです。
良かれと思って行った指導だとしても、特に不慣れな環境の中で仕事をしている技能実習生たちにとって、それらは大きな心のダメージとなってしまう場合があります。
当組合の対策
- ①実習生と毎月の面談で状況のヒアリング
- 毎月の巡回訪問時に組合スタッフが技能実習生と面談を行っております。技能実習生からは、仕事内容や指導員の指導についてヒアリングを行い、問題なく技能実習が実施されているか確認をしています。
- ②指導員と指導方法の協議
- ヒアリングの中で指導方法に改善が必要だと判断した場合は、指導員とともに指導方法の協議を行っております。
万が一、技能実習生の人格を否定するような行為があった場合は、企業様には直ちに改善をお願いしております。
失踪理由④労働時間が長い
「朝は早く夜は残業が当たり前」「休日はほとんど取れない」このような状況になったら、日本人でも辛いはずです。
労働時間が長くなってしまうと、心と身体を休める時間が無くなってしまうばかりかプライベートな時間ももつ事ができず、深刻な疲弊状態から失踪を考えてしまいます。
当組合の対策
- ①法令に基づき改善指導
- 企業様より毎月提出していただく勤務実績をチェックし、拘束時間が長い・休みが無いなど、雇用契約書と異なる処遇となっている場合は、法令順守を第一に、改善指導を行っております。
企業様・技能実習生と原因を話し合い、改善をすることで、再発防止に繋げております。また、本人の希望により長時間労働となっていた場合は、本人にも自己管理の意識をもってもらうよう指導することで、悪意なく企業様が法令違反となってしまうことも防ぎます。
その他の失踪理由
その他の失踪理由としては、「仕事内容が思っていた内容と違っていた」や「日本語が不安で悩みを相談することができない」など様々です。
抱える問題に迅速に対応できるよう、当組合ではサポート体制を整えております。
当組合の対策
- ①企業様・送り出し機関との連携
- 受け入れ企業様・送り出し機関と連携することで、健全な技能実習が行える環境づくりに注力しています。
小さな問題も見逃さず、きめ細やかな対応で、トラブルを未然に防ぎます。万が一、トラブルが発生した際も迅速な対応で問題解決をいたします。 - ②当組合所属の通訳による相談窓口を設置
- 各国の通訳が日本に常駐しており、技能実習生の相談窓口を開設しております。
技能実習生はSNSや電話でいつでもすぐに通訳と連絡ができるため、企業様に相談できないことや、日本語で上手に伝えられない問題や悩みの早期解決に繋げております。 - ③仕事内容のミスマッチを事前に防止
- 自分が思っていた仕事と実際の仕事が違っていたなどの認識の相違・ミスマッチが生じないよう、採用面接時に写真や動画を使用した説明方法を企業様にアドバイスさせていただいております。