技能実習制度で監理団体の役割とは

外国人技能実習制度における監理団体の役割をわかりやすく解説します。監査の重要性や実際の監査項目の内容、違法や不正行為について例を挙げて説明します。また、外国人技能実習機構による実地検査の内容および、受入企業様のよくある思い違いなどもご紹介いたします。

21世紀マンパワー事業協同組合(監理団体)の役割とは?

弊組合は技能実習生の優良監理団体として、面接前から実習生が任期を終え帰国するまでの間、実習生が安心して技能実習が行えるよう、また実習実施者様が不安なく実習生を迎え入れられるようサポートいたします。
適切に技能実習を行うことができる環境のサポートをすることが我々監理団体の役割です。

技能実習生と実習実施者のどちらも安心

監理団体の役割とは【当組合サポート内容】

  • 3ヶ月に1回実習実施者へ監査実施
  • 監査について詳しく見る
  • 1ヶ月に1回実習実施者へ(監査含む)巡回訪問

    毎月の賃金台帳やタイムカードを確認し、給与がきちんと支払われているか、実習計画通りに実習が行われているか毎月実習実施者に伺い巡回を行っています。

  • 技能計画認定申請書類の作成

    技能実習生として入国してくるためには必ず外国人技能実習機構から技能実習計画の認定を取る必要があります。
    申請書類が多く、複雑なものもあるため弊組合にて書類作成、申請を行っています。

  • 入国直後に1ヶ月の入国後講習
    (日本語、日本での生活一般に関する知識、入管法、労働基準方等技能実習生の法的保護に必要な情報)

    実習生は入国した後、監理団体で1か月間の講習を行い、日本語学習や日本のルール、マナー、交通規則や法律について研修します。

  • 実習実施者に対する実習生入国前から帰国までのサポート
    (実習生受け入れに関するご相談、申請書類作成サポート)

    実習生の受け入れに対し事前に登録しておかなければいけないことや、準備しておくべきこと住環境の整備等ご不明点をサポートいたします。
    また、実習生の帰国時に必要な手続きの案内や実習生が帰国する飛行機の手配を行います。

  • 技能実習生を保護、支援する相談体制として、母国語スタッフの配置
    (ミャンマー、ベトナム)

    当組合では実習生に母国語で支援を行えるようミャンマー人5名 、ベトナム人3名 インドネシア人 (それぞれの母国語駐在員数名)を配置し随時相談対応しております。

  • 技能検定や資格試験の教育支援

    技能検定受験前に過去問題の提供等行います。
    実技試験対策に関しましては実習実施者様で事前に練習させていただくようお願いしております。

  • 日本語能力向上の教育支援

    実習生が日本語学習を継続的に行えるよう教材の提供を行っております。(日本語能力試験の問題集等)
    年に2回開催される日本語能力試験の団体申込みやNAT TESTの申込みもまとめて行っております。
    また、年に1度作文コンクールを組合独自で行い、優秀な作文を書いた実習生を表彰しております。

  • 実習実施者と技能実習生の橋渡し

    技能実習生が実習実施者様に直接話しにくいことや実習実施者様が実習生に伝えたいこと(社内ルールや守ってほしいことなど)を通訳を介してご説明いたします。

  • 実習生総合保険の手続き、保険金請求作業

    実習生が加入する技能実習生総合保険(JITCO保険)の加入、また実習生が病院に行った際の治療費の保険金請求作業を弊組合にて行います。

技能実習制度における監査の重要性について

平成29年11月1日、外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律が施行されました。
技能実習の適正な実施と技能実習生の保護を目的とするもので、実習実施者は、技能実習を行わせる環境の整備に努めることが責務となり、監理団体は、監理事業の許可を得て実習実施者に対する技能実習の実施監理を行うこととなりました。違法または不当な条件で働かされる実習生の発生を防止するため、実習生保護の観点からコンプライアンス遵守の厳格化が進められました。

外国人の技能実習の適正な実施および技能実習生の保護に関する法律

外国人技能実習機構の実地監査について

外国人技能機構は実習実施者(受け入れ企業)に対して3年に1度、監査に入ります。機構の職員が申請内容の事実確認や実習の状況について検査を行います。

  1. 報告の徴収
  2. 帳簿書類の提出もしくは提示の命令
  3. 出頭の命令
  4. 質問または立ち入り検査

この時、機構による調査等で違反があった場合、以下の権限を持っています。

改善命令
技能実習法、出入国または労働に関する法令等に違反していることが判明した場合
技能実習計画の許可・認定の取り消し
計画認定に従っていない場合
認定基準を満たさなくなった場合
改善命令に違反した場合
入管法令や労働関係法令に違反した場合

この監査で指導や改善命令が出ないように、技能実習の適切な実施状況を監理、指導することが監理団体の役割です。

監理団体の監査とは

監理団体は3ヶ月に1回以上の頻度で実習実施者(受け入れ企業様)に対して行います。原則として以下の事項を行います。

  1. 技能実習の実施状況を実地に確認すること
  2. 技能実習責任者及び技能実習指導員から報告を受けること
  3. 技能実習生の4分の1以上と面談すること
  4. 実習実施者の事業所の設備、帳簿書類等を閲覧すること
  5. 技能実習生の宿泊施設等の生活環境を確認すること

状況確認の際に改善点があれば、適正な実習実施が行われるよう、監理団体が実習実施者に指導・助言を行います。監査の結果は、外国人技能実習機構に報告をします。

監査項目及び内容

  • 実習計画、勤怠、賃金関係

    労働基準法、労働安全衛生法が遵守されているか確認します。

    • 実習計画に沿って実習が行われているか
    • 安全教育は実施されたか
    • 技能実習日誌はきちんと作成されているか
      組合より「技能実習日誌」のひな形をお渡し致します。技能実習指導員の方が日々記録し、責任者が月末に確認後、押印します。通常業務の他に週2回(各1時間程度)は安全衛生講習を実施して下さい。
    • 雇用条件どおりの賃金支給(および各種控除)がされているか
      毎月、賃金台帳と勤務表を確認します。
    • 休日はきちんと取得できているか 連続勤務になっていないか
    • 有休は取得できているか 
      働き方改革により、年5日の有給休暇取得は義務です。
    • 36協定は遵守されているか特別条項違反はないか
    • 実習生間で、労働時間、賃金等に格差がないか
      実習生から、不満が出る恐れがあります。
    • 最低賃金を下回っていないか
      最低賃金の改定時には要注意です。
    • 特別教育は実施されているか
    • 関連・周辺作業に偏っていないか
    • 申請と別の現場で実習していないか
    • 就業規則等を守っているか
    • 健康診断は実施しているか
  • 寮・社宅関係
    • 室内は整理整頓され、清潔に保たれているか
    • 同居人とのトラブルがないか
    • 無断外泊ないし部外者を泊めることがないか
    • ごみ捨てや生活はルール通りなされているか
  • 生活全般
    • 外出の際は、必ず在留カードを携帯しているか
    • 自転車を拾って(盗んで)乗っていないか
    • 他人のものを勝手に使用していないか
    • ゴミ捨て場等から物を拾ってきていないか
    • ギャンブル(パチンコ等)を行っていないか
    • 他でアルバイトをしていないか
    • お金の無駄使いはないか
    • 同僚からの借金はないか
    • 日本語を継続的に勉強しているか
    • 病気や怪我を我慢していないか
  • そのほか
    • 日本語教育をサポートしているか
    • 日本文化を学ぶ機会を設けているか
    • 地域との交流を図っているか
    • 実習生の待遇に差がないか

実習生間で処遇が異なると、不平不満が出る可能性があり注意が必要です。会社方針として処遇に差が出る場合は、その理由等を実習生にきちんと説明し、納得を得ることが大切です。

従業員との相互理解や実習生の意欲向上の為には、社内レクリエーションの実施や食事会、日帰り旅行などが効果的です。また地域のイベントやボランティア活動に参加の案内をするなど、できるだけ地域の方々との交流の機会を設けてください。

違法、不正行為について

重大な違法または不正行為を行った場合、認定取り消しや一定期間の受け入れ停止、名前の公表などの行政処分を受ける他、場合によっては罰金や懲役などの行政罰の対象となります。また、違法行為を行った者が使用人(従業員)であった場合でも法人(企業責任者)に対しても罰則が科される両罰規定が適用される場合があるので注意が必要です。

両罰規定とは
法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、罰則等の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、罰金刑を科すること

技能実習適正化法により両罰規定が適用される(罰金・懲役刑あり)違法行為の例

違法行為 罰則
暴行・脅迫・監禁等による技能実習の強制 1年以上10年以下の懲役又は200万円以上300万円以下の罰金
技能実習に係る契約の不履行についての違約金の定め等をすること 6ヶ月以下の懲役又は30万円以上の罰金
技能実習生の意思に反して技能実習生の旅券 又は在留カードを保管すること
技能実習生の外出その他の生活の自由を不当に制限する行為など
行政からの改善勧告に従わないこと
備え付け書類の保管義務、帳簿類の作成義務違反または虚偽の書類を作成すること 30万円以下の罰金
申請、届出義務違反または虚偽の申請、届出を行うこと

技能実習適正化法により改善勧告、改善指導等の対象となる不正行為の例

不正行為 処分内容
技能実習計画にない作業をさせること(職種違い) 改善勧告または認定取り消しや一定期間の受け入れ停止、名前の公表などの行政処分
実習生の人権を侵害する行為(暴言や差別的発言はもちろん、預金通帳を預かる行為や貯金の積立を強制する行為もこれにあたります)
備え付け書類の不備、帳簿類の不備
職場環境、居住環境に改善が必要と認められる場合
失踪、途中帰国者の頻発

これらの不正行為には一般的に改善勧告がだされますが、責任が重いと認められる場合や改善が期待できないと判断される場合または不正行為が繰り返される場合は行政処分の対象となります。

労務関係法令上の違法、不正行為

不正行為 罰則
賃金の不払い、または雇用契約違反
(時間外労働も含め契約通りの賃金が支払われているか)
6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
36協定の未締結、または36協定違反(特別条項を超える時間外労働など)
有給休暇の付与、管理義務違反
社会保険、厚生年金への加入義務違反 6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金
健康診断に実施義務違反 50万円以下の罰金

これらは努力義務ではなく罰則規定も定められています。
また、これらの違法、不正行為が発覚した場合、監理団体は適正な指導、助言を行うとともに、外国人技能実習機構へ報告する義務があると規定されております。それを怠った場合は監理団体も処罰の対象となります。

受け入れの際に注意するべきポイント

違法、不正行為についての認識不足から、悪意がなかった場合でも違反につながる場合があります。日頃から適正に監査を実施し、企業様に制度についてしっかりと説明を行い、ご理解とご協力をいただくことが大変重要と考えております。企業様が安心して制度を利用することのできるよう、しっかりとサポートして参ります。

企業側のよくある思い違いの一部例

実習計画に沿って(計画通りに)実習を行うという認識不足
実習生にいろいろな仕事を学ばせてあげたいという思いから実習計画とは違う就業場所、仕事をやらせることは不正行為につながります。
実習計画との相違による労働基準法違反
手取り額を少しでも増やしてあげようという思いから、残業や休日出勤などの時間外労働等が多くなることは労働基準法違反になります。
就業規則の相違
実習生は特別という認識から、日本人と違う待遇をとることは違反につながります。同じ従業員なので、技能実習生も日本人と同じ就業規則が当てはまります。

参考:優良監理団体とは

監理団体が一般監理事業の認定を受けるには、特定監理事業よりも厳しい優良基準を満たす必要があります。詳しくは下記よりご確認ください。