外国人技能実習制度とは
外国人技能実習制度の目的・趣旨や、在留者情報、受入条件・要件などをわかりやすく解説。技能実習生受け入れを検討されている方は確認しておきたい基本的な内容をご紹介いたします。
外国人技能実習制度とは
外国人技能実習制度は、日本が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため、技能又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的として、平成5年に制度化されました。
技能実習生は、制度の基本理念を十分に理解し、実習期間を通じ、実習計画 並びに監理団体及び実習実施機関の指導に従い、技能等の修得又は習熟に精励するとともに、帰国後は修得した技能等を母国の経済発展のために活かすよう高い向上心と意欲をもつ者たちであり、単なる安価な労働力ではありません。
外国人技能実習制度は、日本が今後も推し進めていく重要な制度の一つでもあり、アジアの発展途上国へ貢献するだけでなく、日本の進歩発展にも大きく貢献できるものであると確信しています。
外国人技能実習生在留状況【2019年6月時点】
在留外国人統計(旧登録外国人統計)より作成
国籍別の内訳
国籍 | 在籍人数(人) | |
---|---|---|
1 | ベトナム | 189,021 |
2 | 中国 | 81,258 |
3 | フィリピン | 33,481 |
4 | インドネシア | 30,783 |
5 | タイ | 10,656 |
6 | ミャンマー | 10,328 |
7 | カンボジア | 8,274 |
8 | その他 | 3,908 |
在留資格別 年齢・男女別の内訳
都道府県別の内訳
当組合の都道府県別の受け入れ実績はこちら外国人技能実習生受け入れにかかわる機関
- 送り出し機関
- 各国の政府より認定された技能実習生送り出し機関。主な業務は、実習生の募集、選考、日本語事前教育、日本文化、生活習慣の教育を行います。
※当組合は、ミャンマー、ベトナム、インドネシアの送り出し機関と契約しています。
- 監理団体
- 団体監理型の受入れにおいては、技能実習は監理団体の監理及び指導の下に行われます。監理団体とは、技能実習生の技能等を修得する活動の監理を行う営利を目的としない団体をいい、団体要件を満たし許可された団体が該当します。
- 受け入れ企業
- 外国人技能実習機構より適当である旨の認定を受けた技能実習計画に基づき、技能実習を行わせる個人または法人。
※介護職の場合、技能実習を行わせる事業所が開設して3 年以上経過していること。
※技能実習生を受け入れる際には下記の待遇を準備することが求められます。
- 日本人と同等以上の報酬
- 適切な宿泊施設の確保
- 入国後講習に専念するための措置を講じること
- 各段階の技能実習修了までに、修得した技能等の評価を技能検定、評価試験などで実施すること
技能実習計画
外国人に日本で技能実習を行わせようとする者は、あらかじめ技能実習生ごとに技能実習計画を作成し外国人技能実習機構による認定を受ける必要があります。この技能実習計画の認定を受けなければ、外国人技能実習生に技能実習を行わせることができません。
監理団体の指導を受けて作成する技能実習計画は,認定基準に適合していなければなりません。
当組合で受け入れ可能な技能実習生の国民性
当組合ではミャンマー、ベトナム、インドネシアに特化した受け入れを実施しております。三ヵ国に特化することで組合として専門性を高めることができ、提携送り出し機関と密に連携を図ることができるため、より安心して受け入れ企業様に外国人技能実習生を受け入れることに専念していただけます。技能実習生として日本に来る外国人「ミャンマー人」と「ベトナム人」の一般的な国民性について説明していますので、指導方法の参考にしてください。また、技能実習生の出身国を知り、コミュニケーションに活用していただけたらと思います。
在留資格「技能実習」について
技能実習生の入国から帰国までの主な流れ
技能実習法に基づく技能実習生の入国から帰国までの流れは下図の通りとなります。
技能実習の受け入れ区分
技能実習1号
技能実習の1年目は技能を修得する活動となります。
- 監理団体による入国後講習で知識の修得
- 実習実施機関との雇用関係に基づいて行う技能等の習得
※講習期間は受け入れ企業と技能実習生の間に雇用関係はありません。
来日して2年経つと技能検定基礎級(実技試験、学科試験)に相当する技能評価試験を受験します。
技能実習生に関する主な要件
- 18歳以上であること
- 制度の趣旨を理解して技能実習を行おうとする者であること
- 帰国後、修得した技能を必要とする業務に従事することが予定されていること
- 従事しようとする業務と同種の業務に外国において従事した経験を有すること、又は技能実習に従事することを必要とする特別な事情があること
- 本国の公的機関から推薦を受けて技能実習を行おうとする者であること
- 技能実習を過去に行ったことがないこと
技能実習2号
技能実習2・3年目は第1号の実習で修得した技術等に習熟するための業務に従事する活動となります。また、第2号技能実習に移行が可能な職種・作業は令和4年4月時点で86職種158作業あります。
第2号技能実習移行要件
- 第1号技能実習と同一の実習実施機関で、同一の技能等についての業務を行うこと
- 基礎2級の技能検定(学科と実技)その他これに準ずる検定又は試験に合格していること
- 技能実習計画に基づき、さらに実践的な技能等を修得しようとするものであること
技能実習3号
技能実習4・5年目は技能等に熟達する活動となります。第3号技能実習に移行が可能な職種・作業は令和4年4月時点で80職種145作業あります。
また、3年間の実習終了後(2号修了後)、第3号技能実習開始前もしくは3号技能実習中に1ヶ月以上1年未満の一時帰国をすることが技能実習生法で定められています。
第3号技能実習移行要件
- 技能検定随時3級又は技能評価試験専門級に合格した者
- 法令で定められた基準に適合している「優良」な監理団体・実習実施者
- 過去に技能実習3号を利用したことがない
- 技能検定2級の受験義務※1がある
※1 第3号技能実習計画では、技能検定2級(技能評価試験の上級)の実技試験への合格を目標としなければなりません。第3号技能実習修了時において、実技試験の受験が必須とされています。なお、学科試験は義務ではありませんが、受検することが勧奨されます。
技能実習3号に移行できない職種・作業
- 棒受網漁業
- 農産物漬物製造業
- 医療・福祉施設給食製造
- カーペット製造
- グラビア印刷
- リネンサプライ
- 宿泊
- ゴム製品製造
- 空港グランハンドリング(客室清掃作業)
以上の職種・作業は技能実習3号に移行できないため、原則3年間しか国内に在留できません。不法滞在などのトラブルを避けるために、3号移行対象の職種・作業であるか事前に確認することが重要です。
外国人技能実習生受け入れの諸条件
実習実施者に関する要件
- 厚労省が定めた技能実習計画審査基準のうち、必須作業を全体の作業の50%以上行っていること。
- 技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員を選任すること。
- 技能実習責任者は技能実習責任者講習を受講すること。
- 技能実習指導員は修得させようとする技能について5年以上の経験を有するもの。
技能実習生受け入れ可能人数枠
実習実施者が受け入れる実習生については上限数が定められています。
介護職種以外の場合
第1号(1年間) | 第2号(2年間) | 優良基準適合者 | |||
---|---|---|---|---|---|
第1号(1年間) | 第2号(2年間) | 第3号(2年間) | |||
基本人数枠 | 基本人数枠の 2倍 |
基本人数枠の 2倍 |
基本人数枠の 4倍 |
基本人数枠の 6倍 |
|
実習実施者の 常勤職員総数 |
技能実習生の人数 | ||||
301人以上 | 常勤職員総数の20分の1 | ||||
201人〜300人 | 15人 | ||||
101人〜200人 | 10人 | ||||
51人〜100人 | 6人 | ||||
41人〜50人 | 5人 | ||||
31人〜40人 | 4人 | ||||
30人以下 | 3人 |
介護職種の場合
受け入れることができる実習生は、事業所単位で、介護等を主たる業務として行う常勤職員(常勤介護職員)の総数に応じて設定(常勤介護職員の総数が上限)した数を超えることができません。
事業所の 常勤介護職員の総数 |
一般の実習実施者 | 優良な実習実施者 | ||
---|---|---|---|---|
1号 | 全体 (1・2号) |
1号 | 全体 (1・2・3号) |
|
1人 | 1人 | 1人 | 1人 | 1人 |
2人 | 1人 | 2人 | 2人 | 2人 |
3~10人 | 1人 | 3人 | 2人 | 3~10人 |
11~20人 | 2人 | 6人 | 4人 | 11~20人 |
21~30人 | 3人 | 9人 | 6人 | 21~30人 |
31~40人 | 4人 | 12人 | 8人 | 31~40人 |
41~50人 | 5人 | 15人 | 10人 | 41~50人 |
51~71人 | 6人 | 18人 | 12人 | 51~71人 |
72~100人 | 6人 | 18人 | 12人 | 72人 |
101~119人 | 10人 | 30人 | 20人 | 101~119人 |
120~200人 | 10人 | 30人 | 20人 | 120人 |
201~300人 | 15人 | 45人 | 30人 | 180人 |
301人以上 | 常勤介護職員の 20分の1 |
常勤介護職員の 20分の3 |
常勤介護職員の 10分の1 |
常勤介護職員の 5分の3 |
- 常勤職員に技能実習生数は含まれません。
- 常勤職員とは、社会保険加入している職員を指します。
- 各技能実習生が下記の人数を超えてはいけません。
1号:常勤職員数、2号:常勤職員数の2倍、3号:常勤職員数の3倍
実習の期間
実習の区分は、入国後1年目の技能等を修得する活動(第1号技能実習)、2~3年目の技術等に習熟するための活動(第2号技能実習)、4~5年目の技術等に熟達する活動(第3号技能実習)の3つに分けられます。
1年目の技能実習修了前に、学科・実技試験(技能検定基礎級相当)を受けて合格し、出入国在留管理庁の審査を通ると技能実習2号として更に2年間、合計3年間在留することができます。 また、実習生が実技試験(技能検定3級相当)に合格し、かつ監理団体・実習実施者が優良認定を受けている場合のみ更に2年間、合計5年間在留することができます。
外国人技能実習生受け入れモデル
実習生の受け入れは、「第1号技能実習」と「第2号技能実習」のみで構成される受け入れと、第3号技能実習生や特定技能として最長5年働ける受け入れの2つの受け入れの流れがあります。それぞれの受け入れモデルは以下の通りです。
例:従業員30名の企業様が実習生の受け入れを行う場合
技能実習生受け入れ可能職種一覧
技能実習生受け入れ可能職種一覧はこちら技能実習制度受け入れの監理タイプ
国の制度である外国人技能実習制度には、日本の公的な援助・指導を受けた協同組合や商工会等の団体と企業様とが共に技能実習を行う「団体管理型」と、企業様が単独で受け入れを行う「企業単独型」の2種類のタイプがあります。
- 企業単独型
- 日本の企業が海外の現地法人や合弁企業、取引先企業の常勤職員を直接受け入れ、日本で実習を行う制度になります。そのすべての手続きを企業様自身に行っていただかなければなりません。
- 監理団体型
- ほとんどの企業が監理団体型で、9割以上の企業様は組合を通して技能実習生を受け入れます。監理団体型は、当組合のような監理団体が海外の「送り出し機関」と提携し、技能実習生を受け入れ企業様へ配属します。そのため、人材の募集や複雑な送り出し国との諸手続き、配属前研修全般は組合が行うことになり、企業様は実習に集中することができます。また、監理団体が海外の送り出し機関と提携することで海外に拠点を持たない企業様も外国人技能実習生を受け入れることができます。
技能実習生受け入れで監理団体(組合)を利用するメリット
- 入出国に係る
事務手続きを代行 - 送り出し企業との
資本関係要件の緩和 - 受け入れ人数の
制限が緩和 - 配属までの
日本語講習実施
- 受け入れ企業様に
専任担当者の配置 - 監理団体に常勤の
母国語対応スタッフ所属 - 担当スタッフによる
巡回サポート
法令・制度遵守について
外国人技能実習生の受け入れを検討されている方なら、一度は外国人技能実習制度のマイナスなニュースを見たことがあると思います。
最低賃金以下での労働を強いる、長時間の勤務、休みが無いなど、労基法上の違反はもちろん、受け入れた職種と全く違う作業をしている、予定された場所以外で仕事をさせている指導者が現場にいないなども違反行為となります。
外国人技能実習生の受け入れは、技能実習法はもちろん雇用に関係する法律・制度すべてが関わってきます。
不正行為と認められる行為があった場合、監理団体や送出し機関は許可の取り消し、実習実施者は外国人技能実習生の受け入れが出来なくなります。
また外国人技能実習機構のHPに名前が掲載されることもあります。
下記の行為はすべて不正行為に当たりますので受け入れ企業様はご注意ください。
- 技能実習計画と実際の仕事内容が異なる
- 時間外労働
- 給与不払い
- 人権侵害
外国人技能実習機構にて認定を受けた技能実習の内容とは異なる仕事を外国人技能実習生にさせている、技能実習対象職種ではない作業を実習生に行わせている場合。
労基法の規定以上の時間、外国人技能実習生を労働させている場合。
給料日に給与を支払わない、残業代を支払わない場合。
実習生の在留カードやパスポートを実習実施者が預かり管理をする、パワハラ、セクハラ、暴力があった場合。