技能実習生の年末調整 ―申請の流れや必要書類などを解説―
外国人技能実習生を初めて受け入れる企業様のなかには「手続きのやり方がよくわからない」と悩む方もいるのではないでしょうか。ここでは外国人技能実習生の年末調整に関しての抑えておきたい基本的な知識を紹介しております。扶養控除や帰国時の年末調整についてもご紹介しておりますのでぜひ参考にしてください。
年末調整の対象者とは
日本の企業で働く外国人の中には、年末調整の対象になる方と対象外の方がいます。年末調整の対象・対象外は「生活の本拠地」によって決まります。
対象の場合
- 日本に住所を持つ人
- 1年以上日本に住み続けている人
税金の取り扱いは基本的に日本人労働者と同様です。技能実習生が日本の企業に所属している場合、所得税は日本人と同じく給与から源泉徴収されます。また、源泉徴収額は日本人労働者と同じであるため、同様に年末調整を受けることが可能です。
対象外の場合
- 外国に生活の本拠がある人
- ワーキングホリデー
日本企業が上記対象の外国人を雇う場合、年末調整の手続きは不要となります。しかし、源泉徴収は必要です。
年末調整の流れ
基本的に外国人技能実習生の雇用形態は日本人の労働者と同じなため、流れは同様です。
- 給与所得者の扶養控除申請を提出
- 給与所得の源泉徴収税額表によって源泉徴収を行う
- 納付すべき所得税の精算
母国に住んでいる外国人技能実習生の扶養家族の取扱い
年末調整では、外国人技能実習生に扶養する家族がいる場合、扶養控除を受けることができます。
扶養親族等の要件
- 技能実習生の親族(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)
- 給与をもらっている技能実習生と生計を一にしていること
- 技能実習生の親族の年間合計所得金額が38万円以下であること(令和2年目以降は48万以下)
- 「生計を一にしている」とは?
- 必ずしも一緒に住んでいる必要はなく、技能実習生が親族に生活費相当額を海外送金していれば、この要件を満たします。
提出書類について
平成27年度より、国外居住親族に関してさまざまな書類の提出が求められています。日本国内の年末調整を受ける場合は、以下の書類の用意が必要です。
- 親族関係書類:国外移住親族が居住者の親族だと証明できる書類
- 戸籍の附票の写しまたはその他の国又は地方公共団体が発行した書類および国外居住親族の旅券(パスポート)のコピー
- 外国政府または外国の地方公共団体が発行した書類
例)戸籍謄本・出生証明書・婚姻証明書
※国外居住親族の氏名、生年月日および住所、または居所の記載があるもの
※一つの書類で確認できない場合、複数の書類で証明する必要があります。
- 親族関係の書類は、国外居住親族の旅券の写しを除き、原本の提出又は提示が必要です。
- 送金関係書類:実際に日本から各親族に送金したことを証明する書類
- 外国送金依頼書の控え
金融機関の書類又はその写しで、その金融機関が行う為替取引により居住者から国外居住親族に支払いをしたことを明らかにするもの - クレジットカードの利用証明書
国外居住親族がそのクレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が商品等を購入したこと等により、その商品等の購入等の代金に相当する額の金銭をその居住者から受領した、または受領することとなることを明らかにするもの
- 送金書類に関しては、原本に限らずその写しも送金関係書類として取り扱うことができます。
- 国外住居者が複数いる場合は 、送金関係書類は不要控除等を適用する国外居住親族各人ごとに必要です。
- 送金関係書類に関しては、扶養控除等を適用する年に送金等を行ったすべての書類を提出又は提示する必要があります。
- 外国送金依頼書の控え
これらが提出されていないと、所得税の計算上扶養控除の適用を受けることが出来ません。書類が足りない状態で扶養等に含めてしまうと税金を少なく計算することとなり、会社側が源泉徴収もれと指摘されてしまうので注意が必要です。
技能実習生帰国時の年末調整について
技能実習生が帰国する際には、12月を待たずに年末調整を行います。年末調整の対象となるのは技能実習生が日本から出国する日までに支払いの確定した給与です。社会保険料や生命保険料などの控除も同様に出国するにまでに支払われたものだけです。