介護施設職員に新型コロナ慰労金給付。その申請方法は?技能実習生も対象?
新型コロナウイルスに感染すると重篤化するリスクが高い高齢者に対し、日々感染防止対策を講じながら介助サービスを提供する介護施設職員に対し、厚生労働省は 「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金(介護分)」 の給付を開始しました。
介護施設等を運営する事業者の皆様は、職員の方に日々の感謝と労いとして、慰労金が行き渡るよう、手続きを進めていただくことをお勧めいたします。
この記事は、「厚生労働省:介護サービス事業所・施設等における感染症対策支援事業等及び職員に対する慰労金の支給事業」についてのページおよびその資料を参考に、慰労金支給の条件や申請方法、また技能実習生への対応についてまとめております。
慰労金の給付対象者の条件は?
対象となるサービス種別
対象となる施設・事業所については以下が条件となっています。
介護分野
介護保険の全サービス、有料老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、養護老人ホーム、軽費老人ホーム
障害分野
総合支援法、児童福祉法による障害福祉の全サービス
つまり、
介護・障害サービスを提供する全事業所ということになります。
詳しくは厚生労働省が出している実施要項をご覧ください。
勤務日数・時間の条件
慰労金の給付対象となる介護施設職員の勤務日数・時間の条件は以下となっています。
対象期間内に延べ10日間以上勤務した実績があること
「都道府県で新型コロナウイルス感染症患者1例目が発生した日」もしくは「都道府県が緊急事態宣言の対象地域とされた日」から令和2年6月30日までの期間を指します
年次有給休暇や育休等、実質勤務していない場合は、勤務日として算入しません。
業務内容の条件
新型コロナ慰労金の目的に照らし、以下に合致する状況下で働いている職員が給付対象の条件となっています。
雇用形態の条件
慰労金の給付対象者の雇用形態は不問です。
派遣労働者や業務受託の労働者、介護サービス事業所・施設等において働く従事者についても趣旨に合致する場合には対象に含まれるとされています。
介護施設等の事務職員の方であっても、現場で働いている場合は、利用者と接する機会があるということで、給付対象になるようです。
一方、
大きな法人の本部など、利用者と接しないオフィスワークをしている人は、給付対象外となるようです。
慰労金給付回数の条件
慰労金の給付は、医療機関や障害福祉施設等に勤務する者への慰労金を含め、1人につき1回です。
施設を掛け持ちしてアルバイトや派遣をしている場合にも、複数回もらえるわけではなく、病院と介護施設を兼務したり副業していたりする場合も、介護従事者向け慰労金もしくは医療従事者向け慰労金のいずれかを1回までしか支給されません。
技能実習生も給付対象
上記の条件に当てはまれば、技能実習生等の外国人介護士も給付対象となります。
コロナ禍で環境が変化する中、母国を離れて働く外国人介護士はあらゆる不安を抱えています。
そのような外国人介護士に対して、日本人と同様に給付が受けられるよう、手続きなどわかりにくい部分は、施設側でサポート等していただくことが必要です。
実際、すでに慰労金を支給された受け入れ事業者のお話によると、受け入れ事業者側が慰労金の趣旨をしっかり技能実習生等に説明をしていることで、母国への仕送りではなく、コロナ禍における万一のことに備えた貯金や、コロナ終息後に使用するといった目的で活用されているようです。
介護施設職員への慰労金(20万円・5万円)の条件は?
給付対象者に該当した人は、慰労金がもらえますが、事業所で新型コロナウイルス感染者や濃厚接触者に対応したかどうかによって給付額が異なります。
濃厚接触者の定義とは
濃厚接触者は保健所が判断しますが、保健所等から濃厚接触者の情報が得られない場合について、以下に該当した場合、濃厚接触者である利用者に保健所から連絡が入り、その旨を事業所が認識した上でサービスを提供している場合は、対象として差し支えありません。
上記について職員の装備や勤務記録、サービス提供記録、その他の書類を踏まえて確からしいと判断がつけば可
慰労金20万円の条件
通所・施設系
新型コロナ感染者または濃厚接触者が発生した日以降に勤務した職員
訪問系
新型コロナ感染者または濃厚接触者にサービスを1度でも提供した職員
20万円を給付の条件である濃厚接触者や新型コロナ患者が施設等に発生したかなどは、令和2年6月30日までが対象期間です。
慰労金5万円の条件
介護サービス事業所・施設等に勤務し、利用者と接している職員
(新型コロナ感染者、濃厚接触者が発生していない事業所・施設)
慰労金は非課税
「新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金(介護分)」は、所得税法(昭和 40 年法第 33 号)の非課税規定に基づき、非課税所得に該当するとされています。
つまり、税金を引かれることなく、20万円であれば、20万円そのまま給付されます。
慰労金の申請方法は?
慰労金の申請には、
「委任状」
や
「受給職員表」
が必要です。
指定様式は厚生労働省のホームページからダウンロードすることが可能です。
要綱全体についても、実際の申請に当たっては厚生労働省ホームページおよび、都道府県の手続きを照会してご確認ください。
こちらのページでは概要をご案内いたします。
職員:勤務先に代理受領委任状を提出
現在、慰労金給付対象の介護施設等に従事している人は、原則として、給付を受ける職員本人が勤務先の介護サービス事業所・施設等に「代理受領委任状(様式4)」を提出します。
この委任状は、都道府県への提出は不要です。ただし、介護施設等が慰労金の代理受領を証するものとして、都道府県からの求めがあった場合に速やかに提出できるよう、法人本部又は介護サービス事業所・施設等において、適切に保管しなければなりません。
施設:都道府県へ給付申請
委任を受けた介護事業所・施設等は、代理受領の委任を行った職員について、「慰労金受給職員表(様式3)」を取りまとめ、「申請書」「事業所・施設別申請額一覧(様式1)」「事業実施計画書(様式2)」とともに各都道府県の国民健康保険団体連合会(以下、国保連)に給付申請を行います。
なお、介護サービス事業所・施設等のうち、介護報酬を請求可能な事業所・施設等においては、申請書等に必要事項を記載の上、原則として、各都道府県の国保連への申請となります。
複数の都道府県に事業所を有する法人の場合は、都道府県単位でとりまとめを行い、重複がないよう申請が必要です。
以下のケースは、都道府県に直接申請
- 国保連に登録されている口座が債権譲渡されている事業所・施設等からの助 成金、慰労金(以下、助成金等という。)の申請
- 事業所が所在する都道府県以外の基準該当サービスのみを行う事業所
- サ高住や養護・軽費老人ホーム等(特定施設入居者生活介護の指定を受けていない事業所に限る)、国保連に対して報酬請求を行っていない事業所からの助成金等の申請
- 退職者等については最後に所属していた施設・事業所での申請を考えているが、連絡先を把握できない場合など、一括して申請を行うことができない職員からの慰労金の申請
- 市町村直営の事業所等で適当な勘定項目がないなど予算措置等の関係から代理受領が行えない事業所等に勤務する職員からの慰労金の申請
都道府県への送付は、都道府県ごとに定められた方法によります。
介護施設をすでに退職した人の申請方法
実施要綱に定める給付対象者に該当する者であって、既に介護サービス事業所・施設等を退職した人については、以下のいずれかの方法により給付申請を行います。
- 対象期間(始期より令和2年6月30日まで)における勤務先による申請
- 対象期間における勤務先が所在する都道府県への直接申請
退職者からの給付申請にあたっては、退職者が勤務していた介護サービス事業所・施設等から勤務期間の証明を取得する必要があります。
申請受付期間
国保連による受付は、以下の期間を予定しており、当該受付期間における国保連の営業時間内に到着した分について、都道府県における審査・交付決定を経て、原則として、翌月末までに国保連から各事業所・施設等に対し、助成金等が支払われます。
初回7月20日から31日
8月以降毎月15日から末日まで
なお、本事業は令和2年度予算による事業であるため、年度内執行の制約上、 国保連による受付は、令和3年2月末までの申請受付分(3月末支払)が最終 となります。
申請受付の受付期間や最終受付締切については、各都道府県によって異なりますので、ホームページ等でご確認ください。
申請書等の提出方法
申請書等は以下の方法で提出します。
なお、事業所・施設等の申請は、原則として、各事業所・施設等で1回を想定していますが、追加申請が必要な場合には上限額の範囲内で複数回申請することも可能です。
① 電子請求受付システムによるインターネット申請
「電子請求受付システム」に、介護報酬請求で使用している ID・パスワードによりログインし、本事業の申請画面にアクセスしていただき、提出用のファイルをアップロードします。
なお、電子媒体・紙による介護報酬請求を行っている事業所・施設等や、ユーザID、パスワードを失念した事業所・施設についても、「ID、仮パスワード」を発行することによりインターネット申請が可能となります。
詳細は国保連までお問い合わせください。
② 電子媒体(CD-R 等)による申請書等の提出
提出用のファイルを、CD-R 等の電子媒体に格納し、都道府県または各都道府県の国保連に郵送してください。申請書等の受付期間は、毎月 15 日から月末までの間(必着)となります。
電子媒体(CD-R 等)で国保連に郵送する際には、以下に注意してください。
- 介護報酬請求のファイルとは、必ず別々の電子媒体(CD-R 等)で提出してください。
- 光ディスク等に Excel ファイルを保存して提出する場合は、光ディスク等の盤面に所要の事項(※)を記載したラベルを貼付又はフェルトペン等で記入してください
盤面に記載する事項
- 新型コロナ支援交付金(介護分)申請書
- 代表となる事業所番号及び事業所名
- 申請年月日(申請書に記載した日付)
- 媒体枚数(○枚中○枚目)
- 送付用の封筒の表面に「新型コロナ支援交付金(介護分)申請書在中」と朱書きしてください。 他の書類(介護給付費等に関する費用等の請求等)を同封しないこと。
③ 紙媒体の申請書等の提出方法
申請書と様式1~3を同封して、各都道府県または各都道府県の国保連に郵送してください。申請書等の受付期間は、毎月 15 日から月末までの間(必着)となります(最終受付締切は、令和 3 年 2 月末の予定)。
紙媒体で国保連に郵送する際には、以下に注意してください。
- 送付用の封筒の表面に「新型コロナ支援交付金(介護分)申請書在中」と朱書きするなどしてください。
慰労金の支給や支払いされた後の対応は?
交付決定・振込み
提出された申請書等について、都道府県が内容を確認します。慰労金等の交付決定が行われた場合、国保連(提出先が都道府県の場合は都道府県)から、事業所・施設等(法人)に交付決定通知が送付されます。
申請書に不備がある場合や、国保連に登録されている口座が債権譲渡されているにも関わらず国保連に申請した場合には、都道府県が必要に応じ、事業所・施設等へ連絡することがあります。
慰労金振込については以下のように行われます。
申請書を国保連に提出した場合
国保連から事業所・施設等に振込通知が送付された上で、介護報酬の振込用に登録されている口座に助成金等が振り込まれます。
都道府県に提出した場合
都道府県から、事業所・施設等に振込通知が送付された上で、事業所・施設等の口座に助成金等が振り込まれます。
各都道府県が慰労金の申請受付から支給、そしてその後の処理までを管轄しています。そのため、 実際に給付が行われる時期については都道府県ごとに異なる ことが考えられます。
詳しくは各都道府県ホームページおよび国保連ホームページをご確認ください。
職員への慰労金の支給
慰労金が支給されたら、速やかに職員が受け取れるようご配慮をお願いします。
なお、介護サービス事業所・施設等が介護従事者等に支給する際の振込手数料は、別途国庫補助の対象となります。
精算手続き(概算額で申請の場合)・証拠書類の保管
事業所・施設等は、助成金の執行や慰労金の職員への給付が終わったのち、都道府県に対し実績報告書を提出します。
なお、支出内容を証明する書類(領収書、振込記録等)は、都道府県から求めがあった場合には速やかに提出することを前提として、法人本部や各事業所において適切に保管することとし、都道府県への提出を要しません。
また、 助成金等に係る収入及び支出内容に関する証拠書類は、交付決定日の属する年度の終了後5年間は保管が必要です。
会計検査等の際、証拠書類の原本が確認できない場合は、助成金等の返還を求められる場合がありますので、不備のないよう証拠書類を保管して下さい。