技能実習生帰国時の手続きや費用
外国人技能実習生の帰国にも様々なケースがあります。
各ケースに応じて、外国人技能実習生が帰国する際にどのような対応をすればよいのか、わかりやすく解説いたします。
技能実習法で規定されている帰国
帰国のタイミング
技能実習生は、実習期間2~3年目にあたる技能実習2号の期間が終了したのち、必ず母国に帰国しなければなりません。
また、実習期間4~5年目にあたる技能実習3号へ移行する場合においても、技能実習生は定められたタイミングで1か月以上の一時帰国をする必要があります。
これは技能実習法で定められている帰国のため、受け入れ企業や技能実習生本人が帰国を希望していなくても、必ず実施しなければなりません。
実習生が帰国するための費用(現住所から空港への移動代、日本から母国への渡航費)は実習実施者に負担となります。
スケジュール調整
技能実習生の帰国が近づいてきたら、在留期間内で退職日および帰国日のスケジュール調整が必要です。日程については、技能実習生・受け入れ企業・監理団体の三者にて協議を行い決定します。
退職日および帰国日の決定後、監理団体が帰国用の航空券を手配します。
技能実習生の帰国までの間に、以下に記載する諸手続きを行う必要があるため、帰国日の設定は余裕をもった日程にすることをおすすめします。
退職時の社内手続きと注意点
給与の計算
技能実習生に支払う最後の給料は、あらかじめ給与計算を行い、帰国日までに支給する必要があります。給料日前に帰国する実習生は銀行口座の解約をしてしまうため、支払いは現金支給にしていただきます。
有給休暇の消化
有給休暇は実習期間中に消化することを推奨します。帰国までに有給休暇を消化できない場合、技能実習生から不満がでることがあるため注意が必要です。
年末調整の実施
技能実習生が帰国する際は、12月を待たずに最後の賃金で年末調整を行い、所得税を清算する必要があります。
社会保険喪失手続き
技能実習生は、厚生年金脱退一時金(※)の受給対象のため、社会保険喪失手続きや年金手帳(脱退一時金の申請で使用)の返却が必要です。対応漏れがないよう注意ください。
日本国内の会社で6カ月以上働いたことのある外国人を対象に厚生年金保険が支払われる一時金。日本に短期滞在する外国人の保険料の掛け捨てを防ぐため、外国人が日本を出国後(2年以内)に請求すれば厚生年金保険に加入していた期間に応じた一時金が支払われます。これについては、監理団体より送り出し機関に申し送りします。
健康保険証等、実習生に貸与していた備品の回収
健康保険証や社員証など、退職時に回収するべきものの回収漏れがないようご注意ください。実習実施者にて貸与していた工具類があればそれも同様です。
住民税の清算
住民税は前年の所得金額に応じて後納で分割払いをするため、技能実習生が帰国する月によっては納税が残っている可能性があります。事前に管轄の市役所に問合せを行い、帰国前に清算が必要です。清算方法については、監理団体と相談の上、決定します。
退職時の社外手続きと注意点
市区町村への転出届
技能実習生帰国時は、住民登録をした市区町村へ転出届を提出する必要があります。厚生年金脱退一時金の受給要件に「日本国内に住所を有していない方」という項目があるため、転出届を提出していない場合は、脱退一時金の還付が通常より遅くなる可能性があります。
外国人労働者の離職届
技能実習生を含む外国人労働者の雇い入れまたは離職の際、当該外国人労働者の在留資格や在留期間等についての情報を、管轄の公共職業安定所(ハローワーク)へ届け出る必要があります。退職日の翌日から起算して10日以内に雇用保険被保険者資格喪失届と併せて必要事項を届け出ます。
銀行口座の解約
最終の給与支給を行い、技能実習生が給料を引き出した後、銀行口座は必ず解約させるようにする必要があります。銀行口座を残したままだと、悪用される恐れがあるためご注意ください。
携帯電話・インターネット等の解約
技能実習生が個人で契約している携帯電話やインターネット等の契約を解除しないまま帰国してしまった場合、帰国後に発生した料金を受け入れ企業が負担させられてしまうケースがあります。帰国する技能実習生には、必ず各種契約の解除をさせるよう、監理する必要があります。
本人の申し出による一時帰国
本人の申し出による一時帰国の条件
技能実習生の身内に不幸があった場合など、技能実習期間中に本人が一時帰国を希望する場合があります。
なるべく実習生の希望に沿う形で一時帰国の手配をします。実習実施者様には有休や忌引き扱いとしていただきます。但し、1か月のうち80時間以上技能実習を行わない場合は技能実習計画の軽微変更を行う必要があります。
一時帰国時の手続きと注意点
技能実習生が一時帰国を希望している場合、必ず監理団体に報告いただきます。一時帰国の際の航空券に関しましては申出がありましたら監理団体で取得手続きを行いますが、急を要する場合は実習実施者による手配のフォローが必要となります。
技能実習が困難となり途中帰国
技能実習が困難な場合とは
技能実習生が実習期間中に病気やケガによって実習が困難になってしまった場合、また、実習実施者が倒産等で技能実習が困難になり、さらに次の実習実施先が見つからない場合、技能実習を中止し途中帰国せざるを得ないケースがあります。
退職時の社内手続きと注意点
実習実施者での手続きは、技能実習法で定められている帰国時の退職手続きと同じ流れになります。
但し、当初の計画の実施が困難になったとして、外国人技能実習機構に「技能実習困難時届出書」の提出が必要になります。こちらは監理団体で作成し、提出いたします。
技能実習2号への移行が出来ずに途中帰国
技能実習2号へ移行ができない場合とは
技能実習1号が終了し、2号に移行する際、学科と技能の試験に合格していることが必要です。その試験に不合格となってしまうと、1年で途中帰国となります。
これは当組合では今までないケースですが、世間一般的には時々起こるようです。
2号移行時の試験合格率を上げるには
当組合では2号移行時の試験合格率を上げるために、技能実習生に対してサポートを行っています。受験手続きの代行や、日本語勉強のフォロー等を行うことで、不合格者が出ないよう対策を行い、確実な2号移行を行っております。